以前、海士町の保育園や子育て支援施設のことを書いた。娘が小学生になったので小学校や中学校・高校のことを書いておこうと思って下書きにして一年が経ってしまった。
私の住んでいる海士町は人口2300人。出生数は1学年に多くて20人、少ないと10人ということもある。
一方、70代前後の人だと1学年40人ぐらいいるという…、典型的な高齢化の島でもある。
小学校 2つもある
なんともびっくり小学校が2つある。
2つの小学校どちらも校舎を最近建て替えたばかりだ。このご時世、閉校だ、合併だ、小中一貫校だというなか、潔いぐらいだ。
1学年10人しかいない学年なら、学校には1学年5人である…。そんなに少ないと複式学級になる。
複式学級とは例えば3年生と4年生が一つのクラスで1人の先生が教える方式だ。そうなれば先生にはテクニックも必要となるだろうに…。
たまたま2023年度はどちらの学校も複式学級はなかったが、2・3年前まで普通にあった。
通える学校は本土の小学校と同じで住んでいる地区で通う小学校が決められる。
島に住んでいたら当たり前なんだけど地区分けについて書いておく。
福井小学校(生徒60人ぐらい)
菱浦・福井・西・中里・保々見・知々井・御波・日須賀・崎・多井
なんと10地区から通っている。
保々見・知々井・御波・日須賀・崎・多井 この地区は、上方地区とも言われ、昔はそれぞれの地区に小学校があったのだけど30年前ぐらいに統合され、山の向こう側で遠いのでバス通学になる。
海士小学校(生徒60人ぐらい)
東・北分・宇受賀・豊田
地区の数と生徒数でみると偏りがあるのか顕著にわかるのだが、海士小校区に町営住宅がたくさん建てられていることに関係する。
2300人しかいない島の2つの小学校。同じようなのかと言えば、制服や体操服はもちろん微妙に違うし、クラブ活動や、地域活動になんだか違いがあるよう。
校風にも違いがあるようだけど、概してこうだ!というのは、私にはわからない。福井小は○○で、海士小は○○と言われているのを聞いたが、覚えていないくらいだ。
校長先生が誰がなるかで校風が甚だしく変わるのは、小学校の学校経営の特徴で、海士だからという訳ではなさそう。
最近、注目されている「評価をしない」とか「宿題がない」といった取り組みは特にない。
いいのかなと思っているところ
小規模であること。
小学生全員が仲がいいと聞いていた。
私は大人数の小学校に行っていて、上下学年と交わることがなかったので、クラスの人数は少ないけれど、それはそれでいいのではと思っている。
同級生の顔を名前がわかっていたり、親の顔が見えるというのは落ち着く。
これは個人的になるけれど(もともとこのブログも個人の見解しか書いてないけど)、先生によるところが大きい気もするが、娘の1年生の1年間は親の私から見てすごくよかった。
いろいろよかったんだけど、発表会もよかったし、年度末持って帰ったものノートや絵をまとめて見ているとなんだかこんなこともやっていたんだ!こういうやり方だと身につきそう~と思ってしまった。
例えばこんなお買い物も。
島の地区によく行っているような気がする。
娘は現在2年生なのであまりわからないけれど、発表会やときどきお店や図書館に掲示された掲示物を見ていると、どこかに行ってなにかしらやっている。
プロジェクト学習というやつがあるっぽい。
良くないのかなと思っているところ
小規模であること。
私が45人クラスで過ごしていたので、それはそれはいろいろ子がいて、小さいときはいろいろな子と流動的に遊んでいた。
こっちでちょっと嫌な気分になっても、こっちで遊んで、また違う子と遊ぶとか…。そういうのはないだろうなと。
先生が島の子は頭が悪い(レベルが低い)と言ってしまうところ。
たまたまある会で先生がそんなことを言っているのを聞いてしまって…。私がイチ保護者だということも知らなかった模様。
これを直接聞いたとき「あんたの教え方が悪いんちゃうの!!」と言いたくなったがだまっておいた。後々じわじわときて、ショックだったんだなと気づいた。
ある先生が言っていただけで、もちろんみんながそう思っているのではないだろうけど、思ってても漏らしちゃだめよ。職員室ちゃうんやからと。
実際、頭が悪い、レベルが低いかは、あんまり私はまだわからない。
今のご時世、お勉強ができないから頭が悪いではなくなっているし、なにがおこっても生きていられるかどうかだと思うから。
しかしながら、島の高校生が分数の割り算ができないということを聞いたことがある。
こんな少ない生徒数なのになんでとりこぼしていくんだ…と思ったけれど、それはここまでのレベルまでできたら卒業といったことではなく、時間が経てば卒業ということの弊害だなと最近は思い、そういうのは全国どこでも同じかと。
(オランダでは、どこまでなにを理解しているかということが卒業時に設定されていて、そこにあわせているので飛び級や留年があるらしいと最近知った。)
上で書いたように、人口が少ないだけに、人が近いだけに、いろいろなことが大きく見えてしまうということもあるかもしれない。
小学校 教育3類型で考察してみた
日本の公立学校ならありそうなことばかり書いて、島ならではっていうのはなんかないの?と思っていたところ、「教育3類型」で考えたら、なかなか島もいいことがあった。そう!そういうこと!と納得がいく。
秋田県五城目町に教育留学した後、移住した人のnoteを見る機会があり、教育3類型というのはこちらのノートで知った。
教育3類型は、「フォーマル教育」「ノンフォーマル教育」「インフォーマル教育」というのがあるようだ。
このnoteを読んでいて、英語で書かれているので、わかるようでわからない。ちょっと霞がかかった感じなので、調べたらこんな感じ。
ノンフォーマル教育というのは、そういった学校教育の制度から自由で、制度に縛られていないものの、学習が意図的に組織化されている教育。
インフォーマル教育というのは、人々が生活のいろいろな場面の中で気づかないうちに学んでいるという意味での教育です。
出典:comments No.12 津田英二研究室 社会教育の歴史的使命について
ノンフォーマルは、塾や習い事ってことかな。
島は、塾はないけれど習い事は少しはある。最近は絵画教室や、英語教室もある。
インフォーマル、島はこの部分が強いのかなと思われる。
Iターンの私(いや私という人間そのもののせいかもしれないが)は、そんなに島の地元の関係性や豊かさを享受している方ではないけれど(よく言うおすそ分けとかほんとどないけど、それはそれでよしと思っている)、それでも、私の実家、香川に比べても格段の人の関係性があると思う。
最近、子どもにとって大切なことということで、意味をもたないあいまいなものが極端に減ってきていると聞いた。
例えば、おもちゃは大人がその使用を意図し、そのように使うように設計されている。なにかよくわからないけれど、なんにでも変化する例えば自然物のようなもの(ただの棒など)とのふれあいが減ってきているという。
ただの棒とバカにするなかれ。2本の棒と保育園の園児との関わりに関する論文が発表されているぐらいだ!
人でいうなら、両親、保育士、先生、役割が決まった人との関係性しかなく、意味の定まらない人、例えば近所のおっちゃんやおばちゃんとの関係性が薄れてきていると。
そういう意味では、島には定まらないものや人との関係性はけっこうある方だと思う。そういったあいまいで人間らしい関係性は豊かなんじゃないかと思っている。
そんな関係性でなにが伸びるの?みたいな認知能力を伸ばしたい人には不向きだが、非認知能力を伸ばすのは絶好ではないのではないかと思う。
中学校 1つある
海士中学校が1つある。
上であげた福井小と海士小の子たちが1つになる。
この2つの小学校の子どもたちの関係性で言えば非常に近い方。なんとなくみんな知っている。保育園で一緒だった子が小学校で別れるが、放課後の学童では一緒に過ごし、中学校で一緒になる。
海士中は2023年は生徒数は48名。1年14名・2年20名・3年14名
この人数はとても多い方だ。少し前までは30名を切っていたのだ。
中学校になると、ますますわからないのだけれど、部活動の種類が少ないらしい。文芸部がないというショックな感じ。
クラス替えがないので思春期になっても新しい友だちを作る機会がないと聞いた。
クラス替えを経験しないので、ずっと同じ関係。新しい関係づくりをする機会がないとのこと。確かに。
しかし、中学校時代、学校には行ってはいたけど親しい友人を持たなかった私(新しい友人作りができなかった人)に、そんなんダメだわって言われたくないよねと思ったりもする。だからまあいいかな。
高校 1つある
島前高校という、島留学で有名になった高校だ。
この高校をめざして中学校から移住する家庭もいたぐらいだ。
島前高校は、島前=海士町・西ノ島町・知夫村 3島から高校生が通う高校だった。
以前は、高校で本土に行く子も増え、子どもの数も減り、人数が少なくて廃校の危機にさらされていたが、高校魅力化というキーワードで、本土から高校生を呼び込むことに成功し、今や1学年2クラスある。
比率は、島前の島の子:本土の子=1:1 でありたいと経営側の人は言っていたがいまはどうなのだろう。
詳しいことは、記事にいっぱい上がっていて調べたらすぐでてくるはずなので、割愛。